初めての子育てはわからないことばかり。
母親になったからと言って、母性が溢れ出るわけではありません。
「あーー。なんで泣き止まないの?」「なんで寝てくれないの?」とイライラしてしまうこともあるでしょう。
お世話になれてきた頃には子どもの行動範囲は広がり「危ない!!」という場面も出てきます。
幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、イヤイヤ期に思春期、反抗期…。果てしない…。
この記事では、知っておくと役にたつ人間の欲求や成長に関するお話をご紹介します。
マズローの欲求5段階説
「マズローの欲求5段階」という言葉をご存知ですか?
マズローについて アブラハム・ハロルド・マズロー アメリカの心理学者 20世紀後半の心理学領域において大きな影響力を持つ人物であり、人間性心理学の生みの親と言われています。 マズローの欲求5段階説は心理学のみならず、経営学や看護学など他の分野でも言及されている考え方です。
私は看護学校の人間の成長発達に関する講義で学び、どんな年代、環境にもこの考え方が当てはまることに「ほぉぉぉ」と感銘を受けました。看護学校で学びましたので看護師として患者家族と関わる際の考え方として教わりました。
もちろん子育てにも役立ちます。
子どもがスクスクと育っている時にはごく自然に欲求を満たしているのかもしれません。
しかし、子どもの成長過程で「おや…?」と思う出来事があった時には思い出してみてください。
子どもは成長したら自然に目標を持ち、親元から羽ばたいて行くわけではありません。成長の過程で必要な欲求を満たすことで次の目標を持つのです。
それを表したのが「マズローの欲求5段階」です。子どもがチカラを発揮していくためにお父さんお母さんに知っておいて欲しいお話です。
人間の欲求は5段階
三角の図をご覧ください。
子どもに限らず、人間の欲求は下位から上位へ変化していきます。下位を抜かすことなく一段一段登っていきます。
一段目→ 生理的欲求…食う寝る出す(排泄)など、生きるための本能的な欲求
二段目→ 安全の欲求…身の安全、健康や経済の維持の欲求
三段目→社会的欲求/所属と愛の欲求…存在意義、役割が欲しい
四段目→承認の欲求…尊重されたい、自分に価値を感じたい
五段目→自己実現の欲求…可能性を感じ、成長したい
一般的にはこのようになっています。現在の自分の状況に当てはめて考えてみると理解しやすいかもしれません。
例えば、出産を経て育児休暇中の女性Aさん。出産後はヘトヘト、赤ちゃんのお世話に必死で日々が過ぎていきます。ギリギリの状態で過ごす毎日(生理的欲求がギリギリ満たされている状態)
赤ちゃんのお世話にもなれてきた。ホッ…。体調も良くなってきたかな。(安全の欲求満たされてきた状態)
赤ちゃんも順調に成長。可愛いし幸せ。だけど孤独を感じるのはなぜ?(社会的欲求が満たされていない状態)
上記の例えは、出産後のお母さんが感じる孤独をあらわしたものです。このようにさまざまな場面でマズローの欲求5段階説は当てはまります。
子育てに当てはめてみる
子供目線で欲求5段階を考えてみましょう。
子どもの欲求
生理的欲求
「ミルクお腹いっぱい飲みたい。ぐっすり眠りたい。オシッコうんちがたっぷり出たらきれいにして欲しい。お腹いっぱいご飯を食べたい。お布団で眠りたい。」
お腹がペコペコで眠れない、汚れたおむつもそのまま…なんて状況は一般的ではありませんが、生理的欲求が満たされないという状況は生命の危機にも直結しかねません。
安全の欲求
「お母さんの腕の中で眠りたい。おテテつなごう。お父さんお母さんは優しい。病気になったらお手当てして欲しい。学校が楽しい。」
健康であることや、事故や暴力などの危険にさらされないこと。貧困ではないことなどが該当します。
社会的欲求/所属と愛の欲求とは
「パパママから愛されてる。お兄ちゃんお姉ちゃんのマネをしよう。お友達といっぱい遊んだ。私も仲間に入れて欲しい。本が好きだからクラスで図書係になった。」
人とのつながりや愛情を求めることや、学校や家族などの集団に属することへの欲求です。
承認の欲求とは
「パパママはいつも私をかわいいって言ってくれるの嬉しい。お掃除頑張ったら先生に褒められた。お友達に面白い本を教えてあげた」
家族や所属する集団から褒められたい、注目を集めたいという欲求です。
自己実現の欲求とは
「この問題解けたから次の問題も解けるかも。逆上がりできたから連続でやってみる。お料理のお手伝い楽しい、今度は私が作ってみる。」
生活の基盤があり、一段一段の欲求が満たされることで自分の希望を叶えることへの欲求が出てきます。
人間の欲求とは下位の欲求が満たされる事で上位に進んでいきます。 すなわち下位の欲求が満たされていないと次へ進まないわけです。
小・中・高・大学生、社会に出てもずーっと当てはまります。クラスの中でも職場でも欲求5段階は成立するのです。
一つ一つの欲求を満たせてこそ子供は自信を持って、自己実現にチャレンジしていく様になるのです。
不登校にあてはめてみる
不登校の時、子どもがどの段階で立ち止まっているのか考えてみましょう。
例えば、学校に行けず部屋にこもっている状態であるとします。これは安全の欲求が満たされていない状態であるといえます。
子どもにとって学校が安全な場所ではないのです。心が安全ではない場所、不安な場所なんだと思います。
子どもにとって「学校・友達」というのは、子ども自身が生きてきた人生の中で大部分をしめる世界なのです。子どもは小さな小さな世界に生きています。その世界が安全ではないなんて恐ろしいことだと思いませんか?
親は何をしたらいいのか
生理的欲求を満たし、家庭でできる安全の欲求を満たしてあげましょう。「学校へ行きなさい」を続けていると家庭も安全な場所ではなくなってしまいます。
それは避けたいですね。
最初に説明したように下位の欲求が満たされることで上位の欲求に進みます。
親ができることは下位の欲求を存分に満たしてあげること。それと家庭内でできる安全の欲求を満たしてあげることだと思います。 健康を気遣い、安心安全に過ごせる環境を作る。何気ない会話、暖かい雰囲気。 これは子どもが誕生してからしてきたことと同じではないですか? 家で過ごす子どもを当たり前に受け入れる。幼い頃はそうでしたよね。 「不登校!?どうしたらいいの??」とあれこれと新しいことに取り組まなくて大丈夫です。まずは満たされていなかった欲求を家庭でできる方法で満たしてあげましょう。
こういう段階を経験して子どもは自己実現していけるようになるんだよってお話です。
自分の成長や、子どもの成長のために頭の引き出しに入れておいてください。
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