子どもが悩んでいたりイライラとしている様子が見えた時に、親として
「どうにかしてあげたい…」「どうにかならないの!?」と感じるのは自然なことです。
ついアドバイスや叱咤激励の言葉をかけたくなりますよね。
しかし、子どもにとって一番の安心は正しい答えをもらうことよりも、自分の気持ちを聴いてもらえることです。
特に不登校や思春期など、言葉にできない不安やモヤモヤを抱えているときには「話を受け止めてもらえた経験」は、子どもにとって何よりの支えになります。
忙しい毎日の中で子どもの話をじっくり聴くのは難しいかもしれません。
けれど『聴く力』を意識して関わることで、子どもの心はぐっと軽くなり、親子の関係も深まります。
この記事では、
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『聴く力』とは何か?
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聴くことが子どもに与える影響
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親がやりがちなNG対応
をわかりやすくお伝えします。
「聴く力」とは?
聞くのではなく「聴く」
『聴く』とは、相手の話に関心を持ち、共感を示しながら真摯な姿勢でいることです。
何を伝えようとしているのかな、どんな気持ちでいるのかな、言いづらいことはないかな…など聴いているこちらも頭の中をフル稼働することが必要かもしれません。
自分の意見はいったん脇に置き、先入観を捨てて、相手の言葉や感情を理解することに意識を向けます。
文章にするとなんだか難しそうですね。
自分の意見は言わずに子どもの話にギュッと寄り添うという感じでしょうか。
「自分の意見は言わずに」の部分が難しく、大人としての意見を言いたくなってしまいますね。でもそれは子どもは求めていません。
否定されずに聴いてもらえた経験は、子どもが「自分は大切にされている」と感じる土台になります。
子育てとは少し違うかもしれませんが…
私自身、心療内科病棟に勤めている時『傾聴』が大切な仕事でした。「看護師としてこれでいいのだろうか」「聞いてるだけなのでは…?」と悩みました。
しかし傾聴を重ねることで、患者さんとの信頼関係が築かれ、結果的にその方自身の力を引き出すことにつながると実感しました。
子どもが「安心できる」と感じる聴き方
子どもは、大人の態度や表情から敏感に「本当に聴いてもらえているかどうか」を感じ取ります。
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うなずきながら聴く
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目を合わせる
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「そうなんだね」「そう考えているんだね」と受け止める言葉を返す
- 沈黙があっても待つ
これらはほんの小さなことですが、子どもにとっては「聴いてもらえている」と思えるサインになります。
不登校や思春期で日常的に会話が弾む関係ではない親子も多いと思います。せっかくの会話のチャンスに「今こそ伝えたい!」と前のめりになってしまうこともあるでしょう。
そこはグッと『聴く』姿勢で!
心の底から「この子は何を伝えたいんだろう?」と先入観を持たずに聴くことで、自然とそのような姿勢になります。
聴く力が子どもの心に与える影響
気持ちを安心して出せるようになる
安心できる相手に出会うと、人は自然に心を開いていきます。
子どもにとってそれが親であることは、心の安定に大きな影響があります。
「学校でこんなことがあった」「友達にこう言われて嫌だった」
こうした日常の小さな話を安心してできることで、子どもは少しずつ本音を話すようになっていきます。
日常のなんでもない会話で否定や意見ばかりだったら、大切な話なんてしませんよね。それは大人の人間関係でも同じですね。
普段のなんでもない話ができていることはとても重要になります。
自己肯定感が育つ
自分の気持ちを聴いてもらえるという経験は、自己肯定感の土台をつくります。
「私は大事にされている」と思えることは、子どもの心の成長に欠かせません。
特に失敗や悩みを打ち明けたときに受け止めてもらえると「こんな自分でもいいんだ」という感覚につながり、困難に立ち向かう力を育てます。
不登校や思春期で会話が少ない時期には、子どもがモヤモヤしている様子が見えた時、すぐに口を出さず一歩引いて見守る姿勢が大切です。
「何かあったら言ってね」と一言添えるだけでも十分です。子どもは態度には出さないかもしれませんが、「信じてもらっている」という安心感につながります。
日常の中では、家族で穏やかに楽しい時間を過ごしましょう。
子どもが機嫌悪そうでも気にしない!
直接的な会話が少なくても「お母さんはこの時間を過ごせて嬉しい」という態度でいればいいのです。
お母さんの機嫌と子どもの機嫌は別のもの!
聴くときにやりがちなNG対応
「自分がされて嫌なことは人にしない」これに尽きます。
親子とはいえ、人と人が会話する時の常識的なことを守っていきましょう。
すぐにアドバイスする
「こうすればいいんじゃない?」とアドバイスしたくなるのは親心。
でも多くの場合、子どもが求めているのは『解決策』ではなく『共感』です。
大人がすぐに答えを出してしまうと、子どもは「自分の考えはダメなんだ」と感じてしまいますし、たいていの場合は大人の答えは子どもにとっては間違っています。
「そんな返事はいらない」と思われるより、「話を聴いてくれた」と思ってもらえる方が、親にとっても嬉しいですよね。
「でも」「そんなことない」で否定する
例えば「つらい」「学校行きたくない」「友達が嫌い」など子どもが伝えてきた時はどのような返事をしますか?
「そんなことないよ」
「そんなこと言わないで」
「友達はそんなふうには思ってないよ」
そんなふうに考えて欲しくないという親の思いが込められている言葉ですが、これは子どもの気持ちを否定しています。
子どもにとって、勇気を出して話したことかもしれません。それを「そんなこと」と言われてしまっては「この人には本当の気持ちは話せない」と感じさせてしまうことがあります。
「お母さんは、私の思い過ごしって思うんだ。わかってはもらえないんだ。こんなにつらいのに。もう話さない」と考えてしまうかもしれませんね。
こんな時に『聴く力』を発揮です!
話を途中で遮る
子どもの話し方は回りくどく感じることもあります。
頭の中がゴチャゴチャで整理が難しいのでしょう。
先回りして「こういうこと?」「これを言いたいんだよね?」と勝手に整理せず、子どもの言葉を待ちましょう。
途中で遮られると「自分の話を最後まで聴いてもらえない」と思い、次第に口を閉ざしてしまいます。
大人も同じですよね。
話を最後まで聴かずに自分の話を被せてくる人に、相談したいとは思いませんよね。
親子とはいえ人間と人間です。
自分がされて嫌なことはしない、誠意をもって関わることは忘れないようにしましょう。
おわりに
『聴くこと』は誰にでもできるシンプルなことです。
でも、子どもにとっては「自分を大切に思ってくれている」という確かな証になります。
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子どもが本当に求めているのは、解決策よりも「気持ちをわかってほしい」という思いです
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聴いてもらえる体験が、安心と自己肯定感を育てます
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完璧な答えより『寄り添うこと』が心を支えます
「何か特別なことをしなきゃ」と思わなくても大丈夫です。
お母さんがそっと耳を傾けるだけで、子どもは安心を得て、心の回復力を育てていきます。
ちゃんと聴いてくれる人がいるだけで、子どもは強くなれるのです。
それが親であることは子どもにとって最大の強みではないでしょうか?
自立した後も人生は続いていきます。
就職・結婚・子育てなど大切な出来事はまだまだあるのです。
『聴く力』は親として、人として持っていた方がいいスキルであることに間違いありません。
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